その1では、ざっくり言うと脳は繊細だから、選択肢を絞って刺激をコントロールしてあげて!という話をしました。その2では、脳の負担を軽くして注意力を温存し、結果として集中力を上げ疲労感を減らす具体的なテクニックをご紹介していきます。
頑張ってまとめたんですが伝えたい事が多過ぎて長くなり過ぎました…必要に応じて紙とペンのご用意を!笑
1.自分の当面の目標を決めて、それに関係がない要素を排除する
誘惑に打ち勝つには環境が大事!という内容の記事を以前まとめましたが、やはり無駄な注意力を使う可能性は潰しておくのが一番です。各個人の現在の価値観によって何が大切かは大きく違ってきますので、まずは「自分が間違いなく好きな事、達成したい事ってなんだろな〜?」というのを"明確じゃなくてもいい"ので考えてみてください。
明確じゃなくていいの?と思われる方も多いと思いますが、ユタ大学が2011年に行った研究では、曖昧な目標を立てた方がモチベーションが上がるという結果が出ています。目標に幅を持たせると自由な解釈ができるのでサボったりしてしまった時のダメージが少なく、モチベーションの低下を防いでくれるのが一因みたい。
他にもハーバードビジネススクールが2009年に掲載したワーキングペーパーにも、幅を持たせないかっちりし過ぎた目標は視野を狭くし、他のチャンスや長期的なメリットを見逃しやすくなるといった内容の事が書かれています。何事も程よくが一番ですね。
要するに、目標は進むべき方向性をおおよそ指し示してくれるものであれば十分ということ。あとは逆行するような選択肢や思考は目に入っても無視すればいいよね、といった戦略です。
僕の例。僕が好きな事と大切にしたいことは
健康と生活を向上してくれそうな面白い情報に触れた時のワクワク感
です。つまり、健康を害するものと意味の感じられない退屈な情報などが確実に要らないものですね。具体的に処分したものといえば
・テレビ
・着る頻度の少ない服
・マンガや雑誌、ゲーム
・PC用の椅子(詳しくは別記事でまとめます)
などです。
いきなり全部捨てるのは精神的にもつらいと思うので、まずは要らないかも?と思うものを収納にしまい込んだ状態で10日ほど生活してみるのがオススメ。やってみると分かると思いますが、案外無くても困らないものって多いですよ?
いらないと分かってもやっぱり捨てるのが怖い…という方は捨てる前に写真を撮って思い出フォルダに保存しておきましょう。ペンシルベニア大学の物品の寄付に関する実験によれば、撮影してから寄付したグループはそうでないグループよりも1.15倍多く寄付出来たそうな。
僕らは物自体を捨てられないのではなく、物にまつわる記憶や思い出が捨てられないのだ!というのが研究者の見解みたい。すごく分かるなぁ…。
2.SNSやネット利用時間を減らす
見出し画像がグサッとくる方、多いんじゃないでしょうか?笑
SNSやネットはやはり依存してしまうとメンタルにも生産性にもダメージが大きいです。
・2013年のジャーナルによると、被験者318人の利用状況と心理状態を調べたところ、SNSやスマホゲームにはまっている人ほど社会不安とうつ傾向が高かった
・2011年イスファハン大学の研究では、ネット利用時間の長い学生ほどうつ症状や不安、攻撃性、恐怖症といったネガティブな精神状態が確認された
このような研究が沢山あります。SNSがメンタルに良くない理由として、
・他人をうらやむ気持ちや嫉妬が増幅する
・「時間をムダにしている…」という自覚が自分を責める要因になる
・どっぷりハマると「自分だけ知らない情報やチャンスを逃しているんじゃないか?」という感覚に陥る(FOMOというSNS病ですね)
この辺の影響が大きいようです。無意識にこういった感情が蓄積していく事で少しずつ健全なメンタルがやられていくんでしょうねぇ…。
集中力や注意力に関して言えば、内発的な動機(作業中にあぁ〜ツイッター見たいなぁと思ったり)もさることながら、外発的なもの、特に通知の影響がとても大きいみたい。
ミシガン州立大学の研究では、PCでの作業中にポップアップ画面(アプリの広告みたいな)をランダムに表示して作業スピードを比較したところ、
・2.8秒間のポップアップで作業スピードが50%遅くなった!
・4.4秒間だとなんと67%も遅くなった!
という、なんとも恐ろしい結果に…。何かに集中したいときは、絶対に通知はオフにしましょう。iPhoneならミュートスイッチを入れ、おやすみモードにしておくのがオススメです。これ、裏を返せば通知対策をしっかり行えば通知に気をとられる人の倍以上の生産性を確保できるという事ですよ?ぜひお試しあれ。
3.マルチタスク、作業の切り替えを減らす
見るだけで注意力散漫になりそうな見出しで申し訳ない。笑
これまでの話から考えるとそりゃそうだ。となるかと思いますが、一度に複数の作業を同時進行するマルチタスクや、頻繁な作業の切り替えも生産性とメンタルにダメージを与えます。マルチタスクや作業の切り替えは脳の島皮質(集中とリラックスを切り替える部位)のバランスを乱したり、短期記憶にダメージを与える事で人を刺激に敏感で誘惑に弱い状態にします。
頻繁なSNSチェックやマルチタスク→脳が誘惑に弱く→通知や思いつきに敏感に→更に頻繁にSNSチェックやマルチタスク
この負の連鎖があなたの集中力や注意力を壊していくのです。怖い!
具体的な対策としては、
・集中したいときや趣味の時間のための場所を確保し、そこに他の誘惑の原因となるもの(スマホ、PC、ミュージックプレーヤー等)を持ち込まない。
・時間割をあらかじめ決めておいて、ふと思い付いたタスクや興味がある事、SNSのチェック等は1度紙に書き出して、後にまとめて行う時間を用意する
・タスクの手順もあらかじめ決めておく(PCを起動→ソフトを開く→作業を進めるみたいな)
この辺りが実験でも効果が高いと言われています。
まとめ
1.まず自分の大まかな目標や取り組みたい課題の方向性を決め、それに関係ないものを減らす
2.SNSやネットにかける時間を減らし、作業中には通知をオフにする
3.あらかじめ作業時間と工程を決めて、それ以外の事は紙に書き出して後でまとめてやる
4.方向性が定まってきたら更に関係の無いものを排除
集中力が途切れる事なく作業出来た時って、不思議なほど疲労感がなく、むしろ活力が溢れてくるような感覚になります。僕も色々実践する前は10分も同じ作業をしてられないくらい誘惑に弱く、その状態で1時間も経てばヘロヘロになっているタイプでしたが、この感覚を掴むと一気に楽しくなってきます!
まずは無理なく変えられる所から試してみてください。0→0.1も立派な前進です。それに小さなテクニックを積み重ね、組み合わせる事で成長の幅も大きくなっていきます。それでは!